「日本版抗コリン薬リスクスケール 」公開のお知らせ

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2024年5月17日
一般社団法人日本老年薬学会

 一般社団法人日本老年薬学会(代表理事:秋下 雅弘)は、日本版抗コリン薬リスクスケール作成ワーキンググループにおいて、高齢者に頻用される抗コリン薬のリスクを正確に評価し、薬物療法の適正化(ポリファーマシー対策を含む)を図ることを目的として、抗コリン薬のリスク評価に関する具体的な指標である「日本版抗コリン薬リスクスケール」を開発しました。

目的
 医師、歯科医師や薬剤師等が、高齢者に頻用される抗コリン薬のリスクを正確に評価し、抗コリン薬による薬物有害事象や相互作用を減少させることで患者の生活の質(Quality of life: QOL)の向上を目指す。

経緯
 日本では、臨床的視点にもとづく独自のリスクスケールが存在しておらず、国内の医療現場において海外のリスクスケールをそのまま適用することには限界がある。そこで、日本老年薬学会では、医師、歯科医師、薬剤師、基礎薬学研究者の合計15名からなる「日本版抗コリン薬リスクスケール作成ワーキンググループ」を立ち上げ作成を行った。

日本版抗コリン薬リスクスケール
 日本で用いられる158薬物にスコアを付与した。スコア3が37薬物、スコア2が27薬物、スコア1が94薬物となった。詳細は、日本版抗コリン薬リスクスケールのP13を参照。

対象
1.  適用対象
 高齢者を主な適用対象とするが、若年者でも基礎疾患によっては薬物有害事象の危険が高まることがあり、適用対象に年齢上の区分は設けない。
2.  利用対象
 薬剤師、医師・歯科医師、看護師やその他の医療介護専門職全般である。

使い方
1. 個々の薬物のリスク評価
各薬物が持つ抗コリン作用によるリスクの強さをスコア3から1で評価を行う。
高いスコアの薬物を使用している場合は、より低いスコアの薬物に切り替えるなど検討を行う。

2. 総合的なリスク評価(総抗コリン薬負荷)
高齢者は複数疾患に罹患しており複数の薬物が処方されていることが多く、それぞれの薬物のスコアを合算し、患者の総抗コリン薬負荷を算出する。
薬物療法全体の抗コリン作用によるリスクを把握することが可能となる。

 薬剤師、医師・歯科医師はもちろん、看護師やその他の医療介護専門職の方々にも利用いただければ幸いである。
 

作成者一覧
一般社団法人日本老年薬学会 日本版抗コリン薬リスクスケール作成ワーキンググループ
 

氏名 所属施設
代表 秋下 雅弘 東京都健康長寿医療センター
新井 さやか 千葉大学医学部附属病院薬剤部
亀井 美和子 帝京平成大学薬学部
小島 太郎 東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座老化制御学
阪井 丘芳 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能治療学講座
柴田 ゆうか 広島大学病院薬剤部
田口 怜奈 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構
竹屋 泰 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻老年看護学教室
那須 いずみ フラットアイアンヘルス株式会社
東 敬一朗 医療法人社団浅ノ川浅ノ川総合病院薬剤部
松本 彩加 熊本リハビリテーション病院サルコペニア低栄養研究センター
水野 智博 藤田医科大学医学部薬物治療情報学
幹事 溝神 文博 国立長寿医療研究センター薬剤部
茂木 正樹 愛媛大学大学院医学系研究科薬理学
山田 靜雄 静岡県立大学大学院薬学研究院薬食研究推進センター

(五十音順)

資料ダウンロード

■日本版抗コリン薬リスクスケール(第2版 2024年5月公開)

・日本版抗コリン薬リスクスケール(PDF)「第2版」


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原著論文
<発表の際はどちらかを引用ください>

■ 英語論文

Development of the Japanese Anticholinergic Risk Scale: English translation of the Japanese article

Fumihiro Mizokami, Tomohiro Mizuno, Rena Taguchi, Izumi Nasu, Sayaka Arai, Keiichiro Higashi, Ayaka Matsumoto, Miwako Kamei, Taro Kojima, Takayoshi Sakai, Yuuka Shibata, Yasushi Takeya, Masaki Mogi, Shizuo Yamada, Masahiro Akishita, Japanese Society of Ger

掲載誌:Geriatrics & Gerontology International(2024年12月5日公開)

詳細はこちら: https://doi.org/10.1111/ggi.15001

■ 日本語論文

日本版抗コリン薬リスクスケール

溝神 文博, 水野 智博, 田口 怜奈, 那須 いずみ, 新井 さやか, 東 敬一朗, 松本 彩加, 亀井 美和子, 小島 太郎, 阪井 丘芳, 柴田 ゆうか, 竹屋 泰, 茂木 正樹, 山田 靜雄, 秋下 雅弘, 一般社団法人日本老年薬学会 日本版抗コリン薬リスクスケール作成ワーキンググループ

掲載誌:日本老年薬学会雑誌 第7巻 (2024年 S1号)/2024年9月発行

詳細はこちら: https://doi.org/10.34316/jsgp.7.S1_S1

【日本版抗コリン薬リスクスケール 医薬品データベース(エクセルファイル)】
日本版抗コリン薬リスクスケールの薬価基準収載医薬品コードを含むデータベースを会員向けに公開いたします。
利用に関しては、下記データ利用規約をご一読いただき、自筆による署名の上、PDFにして
データ利用申請書を下記アドレスまで送付ください。
なお、件名を「日本版抗コリン薬リスクスケール データ利用申請」としてください。
 

・日本版抗コリン薬リスクスケール データ利用規約(PDF)
・日本版抗コリン薬リスクスケール データ利用申請書(Word)

 
一般社団法人日本老年薬学会
         日本版抗コリン薬リスクスケール作成WG 幹事 溝神 文博宛
E-mail : anticholinergic(at-mark)jsgp.or.jp ※(at-mark)を「@」に置き換えてください。

【お問い合わせ】
<日本版抗コリン薬リスクスケールに関すること>
一般社団法人日本老年薬学会
         日本版抗コリン薬リスクスケール作成WG 幹事 溝神 文博
E-mail : anticholinergic(at-mark)jsgp.or.jp ※(at-mark)を「@」に置き換えてください
 
<その他のお問い合わせ>
一般社団法人 日本老年薬学会事務局
〒135-0033 東京都江東区深川2-4-11
一ツ橋印刷株式会社 学会事務センター内
E-mail : info@jsgp.or.jp