代表理事のご挨拶

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日本老年薬学会について

日本老年薬学会は2016年に設立され(設立時代表理事、秋下雅弘東京大学医学部教授)、高齢者に対する薬物治療の質の向上を目指し、医療の発展に寄与することを目的として活動を続けてまいりました。

設立以来、学術大会や研修会を通じて、薬剤師の専門性向上にも力を入れており、認定薬剤師制度の支援など、現場で活躍する薬剤師の皆様にも広く貢献してまいりました。

近年、日本では高齢化が急速に進行しています。総務省の統計によれば、日本の総人口は減少し続けている一方で、65歳以上の高齢者の割合は、総人口の4分の1をすでに超えています。これからの人口推計を見ても、日本は類を見ない超高齢社会に突入するため、高齢者医療に関わる学術的課題が、より山積することは容易に想像されます。

これまで老年医学は、基礎理論から疾患の診断と治療、機能評価など、若年者と異なる概念や根拠を確立してきました。日本老年薬学会は、老年薬学の学問体系を構築するために、特に以下の課題に対する根拠の確立を目指します。

1)多併存疾患とポリファーマシー対策
2)個別最適化を目指す薬理学、薬物動態学の体系化
3)高齢者特有の薬物治療管理方法の構築
4)病院・在宅など機能に応じた医療提供の実践
5)口腔の健康および嚥下機能と病態との関係

日本老年薬学会は、2023年に日本老年学会にも加盟しました。老年薬学領域は、世界的に見ても独自の学会等は存在せず、国内外の関連学会との連携を深めながら、世界をリードする老年薬学の学術団体として、さらなる発展を目指しております。

2025年7月吉日
大井 一弥